Rewrite

これは、星と人が紡ぐ世界の命運を秘めた命の物語。

Rewriteがこれまでに類を見ないレベルで良かったので、感想及び考察を記しておく。


まぁ正確には、おもしろかった、というよりかは、自然環境とか星とか人類とか命とかを題材にした物語そのものに感銘を受けた、こういったテーマそのものが嬉しかった、そしてそれに対する最後の答えに衝撃と感動を受けた、というのが正しいかな。ぶっちゃけると、ジャンルは恋愛シミュレーションだけど、そういう要素は個人的にはどうでも良かったですw。キャラ的にはちはやと小鳥が好きだけどw。
このゲーム、人によっては人生観も変わるんじゃないかなぁ、と思わなくも無いくらいすごいと思うけど、いかんせん精巧過ぎる文章なのでわかりやすいとは言い難い。個人的には2周推奨な感じですが、読み解けてくるとすごくおもしろい!!とオレは思うんだが…まぁ。
というわけで、個人的な思い込みとか確実にあると思うが、いろいろと考察してみたことを書いてみまっす。未だかつて無く長いので、読みたい人だけどうぞw。








では、ここからはネタバレ全開でw。


でまぁいろいろと難しい内容ではあると思うんだが、もうわかりやすくぶっきらぼうに書いてしまえば、Rewriteが伝えたいメッセージとは…『宇宙に旅立て』かな。でもやっぱ一番グっときたのは、母なる星地球は子の旅立ちを祝福するだろう、というところ。
未来を切り開け。生きろ。進め。命ある限り。そんなメッセージを最後の最後で感じて自分は、この作品を『命の物語』と呼ぶのが一番しっくりくる気がしている。

良い記憶と悪い記憶

メッセージという点に関して言えば、数えればきりが無いくらいあると思う。でもやっぱり気になるのは、『良い記憶』『悪い記憶』。ゲーム中、明確な言葉を持ってこの意味を表している部分はどれくらいあったのか、2周目をちゃんとやっていないので正直なところはなんとも…なので、自分の独断的な解釈になるけど、『悪い記憶』とは『人類同士の憎しみ、闘争、抗争』。『良い記憶』とは『人が人として生きる道を見つけ希望ある未来へ進んで行くこと』。悪い記憶は命の放棄、即ち自殺、滅びへの道と理解すればわかりやすいが、いかんせん良い記憶がわかりにくいんですよね。で、命を中心に考えると、要は、何が何でも生きて生きて生き抜くこと、その意志、その実行。命を希望ある未来へ輝かせること、繋げていくこと。生きることそのもの。ということなのかなぁと自分は思っています。


閑話休題
実際のゲーム内での出来事を時系列に書き出してみる。意外にそこわかって無かったわーwってところがあったりしたw*1
アウロラの増殖→地球で命が生まれる(人類が生まれる)→(宇宙開発できずに)命が滅びる→再進化→繰り返し⇒(再進化の繰り返しにより)地球の枯渇→(アウロラの)月への侵食→(月での)アウロラの増大→多重世界の発生→月における多重世界での地球シミュレーション(可能性世界:個別ルート)→繰り返し⇒Moonルート:(月の)篝の命の理論完成→地球にアウロラが戻る→地球最後の再進化⇒Terraルート
明文はされていないが、星の繁殖活動とは、命が他の星に辿り着きアウロラが増殖していくこと、のように思えるんですよね。そういう意味でも、命が広がっていくことは星にとっても重要で大きな意味を持っているように思える。ちょっと生物学的な感じで暖かく無いですが。。。
閑話休題終了


では、『良い記憶』として描かれているものは何か。そこが個人的に一番大きな疑問であり、謎であり、最も注目したいところだった。Terraルートで、瑚太郎がやったことは、秘匿された技術の公開により人類に生きる希望を与えること、だったと思う。何が何でも人類が生き延びるという意志を持つことが必要。では、ガーディアンの思想こそが最重要なのだろうか?そんなわけ無いなーと思いつつ、正直なところ、こう思ってしまう人はいるんじゃないか、と感じている。

『あなたには力があり、世界に不服があります。さあ、あなたは世界を変えたいですか?それとも自分を変えたいですか?』
  • 世界:ガイア的思想
  • 自分:ガーディアン的思想
  • 答えられない:別の可能性

良い記憶に繋がるのは3つ目なんだろうと思っているのだが、でもなんかしっくりこない。なので、1つ1つ考えてみることにした。

ガイアに足りないものとは何か。

これは単純明快で、自己放棄による他人任せの変革、そして、生き延びようという意志。命を放棄する行為は、自殺であり、母なる星への叛逆である。

ガーディアンに足りないものとは何か。

当然、世界を変える意志、となる。だがこれだとニュアンスが悪いので、言い換えるなら、世界を切り開く意志、と考えよう。だが、これについてはわずかながら完全な否定にならないとも感じてしまう。なぜならルチアルートにより、醜悪ながらもなんとしても未来へ生きる意志、が示されているからである。人は時間さえあれば、問題をいつか必ず解決してみせる、世界を生き抜いてみせる、というメッセージがそこにある。だがしかし、星に依存する姿勢、現状を守ろうとする姿勢、先延ばしを優先する姿勢、これはすべて停滞、であり、変革とはほど遠い。そして付け加えるならば、ここで示されているのはやはり自己の変革だけなのだ。
江坂の言葉にこうもある。『(ガーディアンに)協調性など望むべくも無かった。力なき者だけが、有機的に連携することを謙虚に学んだ。』。人類の大半は、力なき者である。だからこうも思う…協調性の獲得とは、世界の変革に繋げることのできる力なのでは無いか、と。

答えられない選択とは何か。

世界も自分も変革する意志を持てないこと、即ち、停滞。希望の模索と考えることも出来るが、それでは弱い。前を向いているかもしれないが、消極的な停滞なのかな、とも思う。悪くは無い、のかもしれない、が、どうもやっぱりしっくりこないし、正直…つまらない。

結論

やはりTerraをやりなおすことにした。そして良い記憶に関する部分を丁寧に読み解いた結果、1つのキーワードを見つけることができた。それは『切り開く力と、意志』。あー………そうか。ここで最後の選択肢を失念していたことに気付く。それは、第4の選択肢。

  • 世界と自分の両方

なんで気付かなかったんだろう。何度も語られていた。ガーディアンもガイアも"力の使い方が間違っている"のだ。『自己を変革する力(ガーディアン)』と『(その力を持って)世界を変革する意志(ガイア)』。その2つが人類に備わったとき、人は未来へ羽ばたいていくことができるのではないだろうか。


これはあくまで自分が個人的にRewriteに見出した答えであるので、間違っているかもしれない、正しく無いかもしれない。でもこの1つの答えは、私たちの未来を明るく照らしてくれるものでは無いだろうか。自己を変革し、世界を変え、未来を切り開く。たとえ星を食いつぶしたとしても、母なる星はそれを許し、暖かく見守ることだろう。正直、その言葉に涙せずにはいられなかった。

個別ルート

ここまでは全体(オーラス)の考察。では個別ルート(可能性世界)は何を意味するのか。(シミュレーション上の)地球の結末、人類の結末、主人公の過去など、いくつかの観点から意味するところを考えてみた。だが、しかし、やはり、『命の物語』と考えるのが一番しっくりきた。つまり、可能性世界で示すテーマは『人が生きていく意味』なのでは無いかと。ただし、これらは星にとっての良い記憶に成り得るとは限らないし、ほとんどが成り得ないものであることは明白に語られている。

  • 神戸小鳥:愛する人と生きる道を探すために生きていく。
  • 鳳ちはや:愛する人と日常を再び掴むために生きていく。
  • 千里朱音:愛する人とどんなに過酷であっても希望を探すために生きていく。
  • 中津静流:愛する人とまた出会うために生きていく。
  • 此花ルチア:愛する人を救うために共に生きていく。

まぁこれもやはりあくまで個人的に感じたところであるので、とても主観的な意見だと自覚している。でも今現在考えた中では一番しっくりきているw。

KOTORI

小鳥ルートはぶっちゃけると、やり直しまでしてやっと導き出せた結論だったりするw。一番最初にクリアして、序章にしか思えなかったくらいのアッサリ感。続きがあると思っていたくらい。でも、やり直して心に響く最後の一文。『この日、俺たちの命の旅ははじまる』。これが終わりであり、始まりなのだと。感じた答えは、誰もが辿る人生そのもの。

CHIHAYA

ちはやルートは、一番おもしろかった、かなぁ。戦闘多いし。個人的にキャラが好きだし。日常、っていうキーワードもKeyらしい感じで個人的に良かった。テーマ的に締めくくりは想定通りで予定通り。なんだろう…良かった、っていう感情が一番強く残っている。

AKANE

朱音ルートは、一番衝撃だった。評判は評価が分かれているらしい、が、個人的には最後の裁判がすごく良かったと思ってる。
あの裁判は、残された人口来世の人類にとって必要なものだった。朱音に負わされた傷が癒えない人類は、前に進めない。地球のために犠牲になった人々は、どうしてもガーディアン思想が色濃く出てしまう。それを抑制するため、ガイア思想を人々に理解させ、それを得ることで残された人類に少しでも光ある未来を進ませたい。その意志を残された人類に上書きする*2、そのための裁判。個人的にはこれも1つの答えとして有りだと思っている。
ここからはさらに個人的・感情的な意見になってしまうが、そもそも人類はガーディアン思想が色濃く出てしまうのが生物としての正しい在り方だと思う。だからガイア思想とは本来、非常に受け入れにくいものなのでは無いだろうか。その片鱗は、聖女システムや社会不適合者などの人員構成を見ても感じることができると思う。だがしかし、その思想は必要なものである。ただしその意味においては、ガーディアン思想を抑制するためでは無く、世界を変える意志と力としての意味だと、オーラス(Moon・Terra)を終えた今では理解している*3。まぁだからこそ、オーラスルートで人口来世に未来は無いと断言されているのだろうが…。個人的にはこのガイア思想を人々に理解させるという結末を祝福したい。

SIZURU

静流ルートは、短かった。印象は…薄い。Moonで可能性世界のルートには未来は無い、って断言されているんで、残された人類によるやりなおしに大きな意味は無い。じゃあ何のために生きるの、ってことで、オレは再会するためだ、って理解した。すごくKeyらしい感じはした。輪廻転生では無いけれど、また次も必ず出会い、そして結ばれよう。

LUCIA

ルチアルートは、異色過ぎだった。内容は良かったと思うしおもしろかったしつらかったけど、ルート分岐ののっけから雰囲気も文章も全然違うのはさすがにやりすぎじゃないかと思わざるを得ない感じ。異質さが際立ち過ぎてRewriteをやっている感覚じゃなくなってた。でも内容はすごかったと思う。人類の醜悪さ、ここに極まれり。なんとしても生き残るという人類の意志は感じられる。でもやっぱり世界の変革に力を発揮できない。そして人類にとっても悪になり、星にとっても悪になる、まさに最悪。モースト・エヴィルw。このルートの瑚太郎のへたれっぷりにはもう何も言えませんがw、結末は予想通りで驚きは無い。でもやっぱこの話、正直、つらかったなぁ。。。

まとめ

公式な発表は確認できないけど、多分、

  • ロミオ:小鳥、朱音、Moon・Terra
  • 都乃河:ちはや、静流
  • 竜騎士:ルチア

で間違い無い気がする(敬称略)。
んで、すみません、小鳥、朱音、Moon・Terraがダントツで最高でしたw。
別にロミオ信者じゃないはずなんですけどw*4

その他

最後に雑多な所感をまとめて結びとしよう。


自然保護、地球に優しい、緑地計画、etc。自然こそ、綺麗でクリーンな素晴らしいものである、という刷り込みを日々の生活の中で、私たちは植え付けられている気がする。だが、Rewriteではそんな空想を破壊する。森の奥地は決して綺麗などでは無い弱肉強食の恐ろしい世界であること、人の手によって作られた自然だからこそ綺麗に見えるということ、星の命が尽きた後そこは死の世界であること、など。こういった真実を描き出し、その上で人類が生きる可能性を描く姿勢に感動した。。。


Moonの意義とは何だろうか。それは宇宙に旅立て、というメッセージに他ならないと理解する。瑚太郎が記したメッセージ『いつかまた君と会いたい』。ここから展開できる理論は…地球を旅立つ可能性。いつか月に旅立て。太陽系に旅立て。宇宙の遥か先へ、星を越えて、別の世界へ旅立て。それは紛れも無い、命の可能性。子である人類が母なる星から旅立つというのは、母からすれば寂しいことだ。だから篝は最後に寂しい顔をする、しかしそれは母なる星からすれば祝福すべき事なのだ。そこに愛を感じずにはいられない。。。


親和数284と220とは何だろうか。親和数の別名を友愛数と言うらしい。そして284と220は友愛数の最小値だ。『あなたの最初の友人として、友愛をここに誓う。』そんな意味で合っているだろうか。。。


Terraの選べない選択肢とは何だろうか。これはMoonで篝が発見した理論による導き、と考えるのが一番しっくりくる。地球による最後の再進化において、瑚太郎には理論の導き手という役割が与えられたと考えていいのでは無いだろうか。そして、地球にはそのタイミングで、過酷な淘汰、が始まるように設定された。すべては(月の)篝に発見された理論に基づいた実証、といえる。それこそが人類の進む新たな道であると信じて。。。


鍵:篝の挙動。多分だけど、月の篝は個別ルートにおいて、『生きる』『ヒト』などのキーワードに反応する。また、悲しい記憶に反応して笑う、否、嘲笑う。未来は無いのだと嘲笑う。シーンの雰囲気とはまったく独立的に、その挙動が見られることで、演出効果が異様な雰囲気で感じられる。いやー篝ちゃんマジ怖いわーw。


主人公:天王寺瑚太郎。天王寺瑚太郎は、なぜ主人公なのか、そしてなぜMoonに召喚され、Terraの導き手となったのか。Memoryに書いてあるのだが*5、加島桜は"命が存続する可能性を常に潰してきた人物"とある。聖女システムにより命に絶望した彼女は、すべての可能性世界において、命を憎む存在として成り立ち、そして最後にはMoonにまで侵攻してくることになる。それが彼女の存在定義そのものである。ならば、瑚太郎の存在定義とは、、、あらゆる可能性世界において命が存続する可能性を見出してきた存在、と言っていいのでは無いだろうか。


このテーマを感じてプレイしている途中に思いを募らせたのは、Exodus Guilty Alternativeというゲーム*6。世界設定は星による救済システムという部分が少しだけ似ている。そしてこのゲームでも、超難易度のクイズゲームの果てに、1つの答え:星と人類の共存、が示されている。だが、Rewriteで示された答えは、これとは根本から異なるものであった。そこに感動すると共に、その答えに敬意を払わずにはいられない。下記は自分が感じた自分なりのメッセージと解釈「いつか星は終える。母なる星はいつかは死ぬ時が来る。それは早いか遅いかだけであり、その時はいつか必ず来る。だから星を延命させることに大きな価値は無い。その時に生きていく希望を繋げていくことこそが、良い記憶であり、母なる星が私たち子供に対して、安心できることなのではないだろうか。」


コンシューマー版はもっとCGが増えて欲しいと思う。文章量・内容に比較してCGが少なすぎる気がした。CGが欲しい場面がかなりたくさんあった。ぶっちゃけこんなこと思ったゲームは初めてだ。グラフィッカーさん超マジで頑張って欲しいw。あとOPYルート*7はおもしろかったけど移植時はきっと削除なんだろうなぁw。無駄に豪華で、いいぞもっとやれ的な感じでしたw。


最後の最後に、Rewriteという作品を生み出してくれたクリエイターの方々に、敬意と感謝を。

ここまで読まれた方、駄文、失礼いたしました&ありがとうございました。

*1:個別ルートの出来事はすべて月での出来事だったとか最初ちゃんとわかって無かったw。

*2:ここではあえて、Rewrite=書き換え=上書きという言葉を使いたい。人類の意志をRewriteするという発想にすさまじい衝撃を受けた。

*3:そういう意味では、朱音ルートは聖女システムが必要だと言っている時点で、オーラスエンドから見て誤った判断と結末という意味に成り得るのかもしれない。しかし最後の最後で朱音が言う言葉、聖女であることを恐れず、生きることを諦めず、命を選択しろ、という部分は、オーラスに繋がる部分と成り得よう。

*4:CROSS†CHANNELは最高ですけどっw。

*5:なぜかHBの項目なのが笑える。

*6:シナリオ:菅野ひろゆき

*7:真のトゥルーエンドでしょうかwww。